(1)「やる気」の正体…意志の弱さか、脳のバグか
■「いい子」が危ない脳科学的理由
一方、大人の顔色ばかりをうかがう「いい子」は、自らの本音の感情を押し殺したり、いじめ被害の中で孤立して一人で悩み続けやすい。そのような状況では、脳内システムもうまく働かない。学校に行く意欲を失うだけでなく、傷つくことを過度に恐れ、自室にひきこもる生活に陥ることにもつながる。
そもそも思春期の脳は、恥ずかしさや怖さといった感情が強く生じやすく、仲間からの評価や失敗体験に大きく揺さぶられやすい。
一方で、前頭葉は発達途上にあり、出来事を客観的に分析したり、感情を切り替える力は十分ではない。そのため思春期では、周囲から見れば小さな出来事でも、本人には大きな痛みやプレッシャーとして感じられる。「気にしすぎ」なのではなく、そう感じやすい脳の時期なのである。
不登校にみられる「朝起きられない」「無気力」には、崩れやすい睡眠習慣や不安定な体内時計、未熟な自律神経機能の影響も無視できない。やる気は脳と体、そして人間関係の問題に帰着する。だから、本人の本音や苦しさを十分にくみ取らずに、根性論や見当違いの助言を重ねることは、脳や体の働きに反することを本人に強いることに他ならず、さらに追い詰めかねない。


















