長寿研究のいまを知る 番外編(5)「老化」は治療できるのか

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■老化は「摩耗」ではなく「情報の乱れ」

 ハーバード大学&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。

「現在の長寿研究では、老化は単なる『摩耗』ではなく、『細胞が若い頃の設計情報を正しく読み出せなくなる現象』が影響すると考えられ始めています。その中で特に注目されるのがエピジェネティクスです。エピジェネティクスとは、簡単に言うと、DNAの塩基配列を変えることなく、環境や生活習慣などの影響により、遺伝子の働き(on/off)が調整される仕組みのことです」

 人間の細胞は、脳細胞であれ視細胞であれ、基本的には同じDNAを持っている。それでも役割が違うのは、使う遺伝子と使わない遺伝子が細胞ごとに異なるからだ。その遺伝の使い分けルールを担うのがエピジェネティクスだ。

 代表的な仕組みが、DNAメチル化とヒストン修飾だ。DNAメチル化とは、DNAに小さな化学物質(メチル基)が付加され、特定の遺伝子が働きにくくする仕組みを指す。一方、ヒストン修飾とは、DNAが巻きつくヒストンタンパク質の状態を変え、DNAの読みやすさを調整する仕組みだ。

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