長寿研究のいまを知る 番外編(5)「老化」は治療できるのか
「ただし、課題も少なくありません。若返りとがん化は紙一重です。細胞を若返らせ過ぎれば、細胞の制御システムが崩れ、異常増殖を招く危険があります。そのため現在は、『どの因子を、どの組織へ、どれくらいの時間作用させるか』という安全性競争が進んでいるのです」
なお、FDA(米国食品医薬品局)は今年1月、「部分的リプログラミング」を応用した細胞若返り治療に関するヒト治験を承認した。
日本でも今年3月、世界初となるiPS由来の再生製品が条件付きで厚労省から承認され、iPS細胞シートによる再生医療の実装化が進む。
再生医療が「傷んだ細胞を新しい細胞に交換する」のに対して、部分的リプログラミングは「今ある細胞を若返らせて修復する」ところに違いがある。
かつて老化は「避けられない自然現象」と見なされていた。しかし今は、「老化は制御可能な生物学的現象ではないか」という考え方が急速に広がっている。その技術の完成はまだまだ先だが、長寿研究がそこに進んでいることは確かだ。


















