(4)梅毒は家庭から立ち退き始めたのか? 次に見るべき数字

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「考えられるのは流行の時間差です。感染症は全国で一斉に流行するわけではありません。梅毒は、人が多く、移動が激しい大都市圏で始まり、地方中核都市に拡大するのが一般的です。東京都のデータを見ると、23~24年に流行のピークを迎えた可能性が高い。女性患者数、異性間感染者数、Ⅰ期梅毒数のすべてがこの時期に最大となっているからです」

 一方で、仙台市のある宮城県は、現在も流行が続いている可能性がある。仙台市は東北最大の大都市であり、単身赴任者や学生が多い。ネットを介在した新たな性活動のネットワークが形成されていたとしても不思議はない。仮にスカウト組織摘発により東京から地方への風俗産業従事者の移動が減少したとしても、すでに形成された地方の感染ネットワークが消滅するわけではない。東京でピークを越えた流行が、地方中核都市ではなお続いている可能性があるのだ。だからこそ、本当の終息を判断するためには総患者数だけを見ていては不十分だ。

 注目すべきは妊婦梅毒と先天梅毒である。妊婦梅毒は、「梅毒が家庭に侵入しているかどうか」を示す最も重要な指標だ。もし今後、妊婦梅毒や先天梅毒が減少へ転じるなら、それは家庭に侵入した梅毒が後退し始めた証拠になる。逆に高止まりが続くなら、患者数が減っても安心はできない。

 2020年代前半、日本社会は梅毒が家庭に侵入するという経験をした。いま私たちが見ているのは、その流行が本当に終わりへと向かうのか、それとも形を変えて続くのかを見極める重要な局面なのである。=おわり

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