著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

医療現場で使われる「スマホ」は院内感染の原因になりかねない

公開日: 更新日:

 ドイツの大学病院の研究グループが、医療従事者と一般の人が使うスマートフォンに付着する「多剤耐性菌」を比較しました。多剤耐性菌とは、抗菌剤が効きにくく院内感染の原因になる細菌です。

 約30カ月にわたって医療従事者のスマートフォン232台、非医療従事者のスマートフォン241台の表面に付着する多剤耐性菌の検査を行ったところ、非医療従事者のスマートフォンでは0.4%だったのに対し、医療従事者のスマートフォンは15.1%という高率で検出されました。とりわけ、頻繁な患者ケアが行われるICU(集中治療室)で使用されているスマートフォンは、一般病棟(11.9%)と比べて23.4%とリスクが高いこともわかりました。

 また、検出された主な多剤耐性菌は、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が11.2%、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が4.7%で、いずれも、院内感染の原因として問題視されている多剤耐性菌でした。

 いまの医療現場では、スマートフォンやタブレット端末は業務に欠かせない機器になっています。連絡のための内線通話、電子カルテとの連携、ナースコールの受信など、業務効率化やチーム医療の強化をするため、これまで使われていたPHSに代わり、急速に導入が進んでいます。それだけに、スマートフォンやタブレットは院内感染の大きなリスクになっていると言えるでしょう。

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