著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

「読みにくいフォント」の方が学習能力がアップする

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 その後、宇宙人に関するテストを行ったところ、グループ①の正答率は72.8%、グループ②の正答率は86.5%──。「読みにくい文字」で必死に読んだ人たちの方が、宇宙人の特徴をよく覚えていたことが判明したというのです。

 この結果を踏まえ、研究グループは「実際の学校では役に立たないのでは?」という疑問をなくすため、高校の授業でも実験を行っています。生徒222人が協力し、英語、歴史、物理、化学などのクラスで、普段の授業で配られるプリントや、先生が使うスライドの文字を、こっそり「読みにくいフォント」に書き換えました。もちろん、勉強する内容は元の教材とまったく変えていません。

 すると、先の実験同様に、クセの強い文字を読んでいた生徒たちだけが、普通の文字で勉強した生徒たちよりもテストで高い点数を取ったといいます。

 読みやすい文字で書かれた文章を読むとき、私たちの脳は「スラスラ読める。簡単だ」と油断してしまいます。このとき、脳は分かった気になっているだけで、実はあまり深く考えていません。ところが、少し読みにくい文字の場合、脳は「注意して読まないと間違える」と警戒するため、無意識のうちにいつもより深く集中するようになります。このように、「勉強するときに、あえて少しだけ困難さを入れた方が、結果的に記憶に残りやすくなる」という仕組みを、心理学では「望ましい困難さ」と呼んでいます。

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