(7)「夢」は脳の夜の仕事? 夢を見る理由はどこまで解明されたか
■「危険」の疑似体験との説も
なかでもユニークなのが、「脅威シミュレーション説」である。
フィンランドの認知神経科学者アンティ・レボンスオ教授が提唱した説で、人間は夢の中で危険な状況を疑似体験することで、現実世界で危険に対応するための一種のシミュレーションを行っているのではないか、と考える。追いかけられたり、高い所から落ちたりする夢が多いのも、その名残かもしれない。
夢と記憶の関係については、さらに興味深い研究も進んでいる。
「最近の研究では、睡眠中の脳は記憶を保存するだけでなく、経験を『再編集』している可能性も示されています。個々の出来事を単純に保存するのではなく、異なる経験の中にある共通点や関連性を結び付け、新しい知識として整理している可能性があるのです。夢は、そのような記憶の再構成の過程を反映している現象なのかもしれません」
この働きは創造性とも関係すると考えられている。ロシアの化学者ドミトリー・メンデレーエフが、元素周期表の着想を夢の中で得たという逸話は有名だ。近年の研究でも、睡眠中に記憶や経験が普段とは異なる形で結び付くことが、新しい発想につながる可能性が指摘されている。


















