シニアに人気の「男の料理教室」は家族の仲も取り持つ
50代、60代といったシニア層を対象とした「料理教室」が人気だ。
かつては、帰宅後「風呂、メシ、寝る」が日本人オヤジの定番だった。家庭の大黒柱が台所に立つなど、ひと昔前ならおよそ考えられなかった。それが今や、頭にバンダナ、胸にエプロンをつけて包丁を握る姿も珍しくない。なぜ、オヤジは料理に向かうのか? 男性シニア層だけで年間6500人も受講している料理教室主催の「一般財団法人 ベターホーム協会」(本部=東京・渋谷)を訪ねた。
同協会は半世紀前に発足、当初は主婦たちを中心にした消費者組織だった。30年前、コメのとぎ方、青菜のゆで方など、料理の基本を科学的に検証した講習会を開催。約1万人の参加者を数えた。本格的な料理教室を開いたのはこのあたりからで、20年前に早くも「60歳からの男の基本料理」コースを立ち上げている。
現在、全国18カ所(東京、大阪、名古屋、札幌、福岡など)に「料理教室」を開講。首都圏にある「男性クラス教室」だけでも、渋谷、池袋、銀座、横浜、千葉などに広がっている。
「協会の男性受講者にアンケートをとってみると、料理を習おうとした動機は、奥さまから『私がいなくなったら、食事はどうするの?』と聞かれたこと。定年退職した後、少しでも妻の手助けになれば、という優しい気持ちが起こった、と回答しています」(同協会企画部広報課主任・長柄櫻子さん)