山の旅館なのに…なぜ夕食に「海の幸」が出るのか?

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 山奥の温泉旅館に泊まったのに、なぜか夕食はマグロやイカの刺し身がてんこ盛りで……なんてことは全然珍しくない。自宅近くの通いなれた居酒屋と変わらないメニューだ。せっかく遠くまで足を運んでも、旅行気分すら満喫できない。なぜ、山の旅館でも海の幸が出てくるのか。

「確かに内陸部の旅館ではマグロの刺し身などが定番です。これは、それらの旅館が都会の客ではなく、地元の高齢者が催す宴会に頼った経営をしているからです」

 こう言うのは、高崎経済大学観光政策学科の井門隆夫准教授だ。団塊世代より上の70~80代にとって刺し身は高級品である。しかも総務省の家計調査(2016年3月)によると、都市別のマグロ消費量はトップの静岡市は別として、3位にさいたま市、4位に甲府市、8位に宇都宮市が入っている。内陸部の高齢者ほど刺し身好きなのだ。

「イノシシ肉やシカ肉などのジビエや山菜の方が都会の客や外国人客には喜ばれるし、仕入れ価格も冷凍海産物より安い。旅館としても海の幸なんか出したくないのです。しかし地元の高齢者に宴会で使ってもらうためには、無難な海の幸を出さざるを得ない。遠方からの宿泊客にだけ山の幸を出す“二刀流”は、仕入れや調理の手間やコストを考えると難しいのです」

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