下品な話を夢のような物語に替えたディズニーのシンデレラ
前回の当欄で、世界中の人びとが悲劇を受け入れられなくなっていることについて取り上げた。戦争によって、どれだけ多くの人たちがどんな犠牲を強いられたのかを伝えようとしても、「そんな重い話は聞きたくない」という人たちが増えている。それを僕は「ディズニー現象」と呼んでいるんだけど、ディズニーが作り出したストーリーによって、みんなが「世界は美しいモノで満たされている」という“まやかし”に支配されてしまった。これは危険なことだよ。
たとえばシンデレラはシャルル・ペローの原作を読めば分かるけど、とても下品な話なんだ。舞踏会に参加した王子が、残された「ガラスの靴」を頼りに女性を捜す話にされているけど、原作の靴はガラスではないし、周りに毛まで生えている。つまり、この靴は女性器の象徴なんだ。そこに足を入れるのはセックスにほかならない。
しかも、その靴は小さくて、ほかに入る人が見つからないのだから、いわゆる名器ということになる。中国の纏足もそうだけど、足が小さい女性はあそこも小さいと考えられていたんだね。