「マキャベリ」など展開 ジローレストランシステム佐藤治彦社長の巻<4>
天ぷら 山の井(荒川区)
こちらは15年近く通い続けている大切な天ぷら屋さんです。何が好きか? 全部です。お店の雰囲気、ご主人と女将さんの人柄、料理のおいしさ、良心的な価格設定。とにかく全部です。
三ノ輪橋から都電荒川線に乗って、「チンチン」という懐かしい発車ベルを聞くこと8回。東尾久三丁目の停留所を越えると、左手に白いのれんが見えてきます。路面電車が走るのどかな町に溶け込むような優しいたたずまいです。
最寄り駅の熊野前で降りて町屋方面に線路沿いを歩いて5分ほど。ガラッと引き戸を開けると、私と同じくらいの年代の方がお母さまと食事をされていました。
「おいしいものたくさん食べて、しっかり栄養つけてね」
残暑の疲れが出てくるころの親孝行。地元の人に愛されているのが、うかがえます。
何といっても、お薦めは店名を冠した「山の井コース」(4500円)です。この日は、マグロの皮を細かく千切りにしてショウガと和えたマリネや高野豆腐、塩茹で落花生などを盛り合わせたお通しで、優しいショウガの香りが暑さの残る夏の前菜に最適です。