10月から扶養のルール変更…パートの妻“1時間の壁”が家庭に及ぼす手取り1万円超の差
若くて時間を確保できればボーダーラインを突き破るのが得
16年から続く制度変更によって社会保険の対象となる短時間労働者が急増している。16年度に約29万人だったのが、24年度には約4倍の約111万人にジャンプアップした。適用拡大の流れは止めようがなく、気になるのは手取りだろう。
「たとえば最低賃金程度の時給1100円で週20時間(月86.6時間)働くと、月額賃金は9万5000円ほどですが、社会保険料として厚生年金保険料や健康保険料、子ども・子育て支援金のほか、40歳以上は介護保険料などを合わせて1万5000円ほどが差し引かれるため、手取りは8万円程度に下がります。この手取り額の低下は、家庭によってとらえ方が異なりますが、物価高でギリギリの生活をしている人にとってはつらいと思います」(荻原氏)
同じ時給で働く時間を19時間(月82.3時間)に抑えると、月額賃金から差し引かれる社会保険料は雇用保険料の約500円のみ。月額の手取りは1時間分の減額を加味しても、9万円台を維持する。“1時間の壁”を守るだけで、手取りで1万円の差がつくのは見逃せない。
週20時間勤務をめぐる“1時間の壁”を守るべきかどうなのか。その考え方のヒントを荻原氏に教えてもらった。
「働ける環境条件と勤務時間の確保がまず考えるべき柱です。たとえば環境条件として、子育てや介護などの働きにくい要因があって、週20時間ギリギリの人は19時間に抑えるべきでしょう。しかし、そんなバリアーがないのに週20時間以内で済ませているなら、ボーダーラインを大きく超えて働いた方が将来的には得だと思います。特に若い方です」
若いとより得で、そうでないとイマイチなのはどういうことか。
「社会保険の加入対象者は、国民年金に厚生年金が上乗せされます。その上乗せ効果は加入期間が長いほど、賃金が多いほどメリットも大きい。60歳目前の人が、週20時間をわずかに超えるような働き方だと、厚生年金のプラスアルファは少ないのですが、子どもがいない30代でフルタイム並みに働くと、かなりのインパクトがあります。サラリーマンや公務員の妻は、この2つが“1時間の壁”を守るかどうかの考え方の軸になるでしょう」
企業によっては、社員の扶養状況によって扶養手当や家族手当を支払うことがある。体力があって福利厚生が充実した企業なら、社会保険の適用条件に関係なく、全社員に扶養手当をつけるかもしれないが、社会保険の適用を扶養手当の支給条件にする企業も少なくないという。後者の企業に勤める人は、“1万円の壁”を破って失う金額はさらに膨らむことになりかねない。


















