翳りゆく東京 郊外最大級の「立川」に迫り来る厳しい現実
東京都立川市は人口18万人、東京都下約400万人を抱える三多摩地区の中心都市です。東京都心から約30キロ、東京駅からもJR中央線の特別快速で40分の典型的なベッドタウンです。これまでに立川駅を電車で訪れて駅構内や駅ビルにごった返す人ごみに驚いたことがある人もいるでしょう。実際、JR立川駅の1日の乗降客数は16・8万人とJR東日本全管轄の駅の中で16位であり、なんと15位の有楽町駅(17・3万人)に迫る勢いです。また19位の中野駅(15万人)や20位(14・7万人)の恵比寿駅をはるかにしのいでいます。
この立川市は私が生まれた場所でもあり、(その後隣接の市に引っ越したものの)子供のころから何か特別な買い物をする時や映画を見るたびに訪れました。初めてお酒を飲んだのもやはりこの町の繁華街でした。昭和の立川は良くも悪くも実に猥雑で危険な香りがする街でした。昭和40年代には米軍基地があり、街には米国人があふれ、駅前には物乞いをする元傷痍軍人もいました。さらに立川競輪が開催される休日には、街全体が灰色に変色していくのが分かりました。