「農作物のアマゾン」を目指す物流企業の倉庫技術と展望
日本の農業の担い手が減る中、農家の課題のひとつが収入の安定化だろう。野菜や果物の多くは収穫期が決まっており、その時々の天候に大きく左右される。豊作時には供給がだぶつき相場は下落、廃棄されやすい一方、不作時には需要に追いつかず相場が高騰する。しかし、こうした課題解決に取り組んでいる物流企業がある。
「農作物は自らエチレンガスを出すことで大きく成長し、収穫後も放出し続けることで熟成が進みます。倉庫に保管する過程でエチレンガスが農作物の腐敗を促すため、これまでは収穫したらすぐに市場に出荷させなくてはいけませんでした」(農作物を中心に物流を手がける福岡ソノリクの園田壽俊社長)
エチレンガスを抑制、排出する特殊な倉庫で保管することで、安納芋1年、ごぼう1年、デコポン7カ月と、農作物を新鮮な状態で長持ちさせられるようになった。最適な状態でスーパーに陳列されるバナナやアボカドなどは、熟れていない状態でコンテナに積み込まれ、エチレンガスの注入で追熟を行っているが、これとは逆のやり方とのこと。九州を中心に西日本を拠点にしている物流企業、福岡ソノリクがこの倉庫技術で特許を取得している。
「西日本で活用している倉庫技術を生かして、今後関東でも物流施設を構築して日本全国へ展開していく予定です。将来はアセアンでも鮮度の高い日本の農作物を需要に応じて効率よく提供していくことも視野に入れています」