<7>地方への移住は老夫婦には可能か? 住まいは東京の半額以下だが…
埼玉県熊谷市郊外の古い一戸建てに住む75歳の遠井安男(仮名)。人生100年時代の最後の住まいを求めて奔走中だが、これという決め手がない。次は、格安で住宅が手に入る地方への移住を考え始めた。
40年ほど前に買った自宅は老朽化が進み、全面的にリフォームすれば1000万円以上かかる。といって駅近のマンションに引っ越そうとしても、自宅は700万円でしか売れないことが分かり、かなりの資金不足。ついのすみか探しが難航している。そこで、少ない予算でも何とかなりそうと目を向けたのが地方、田舎への移住なのだ。
老後の田舎暮らしはブームらしく、とくにコロナ禍で地方への移住をめざす人が増えているという話も聞く。
遠井は田舎暮らしの本を買って、生活ぶりを調べたり、自治体や民間機関が地元の空き家を登録して情報提供する「空き家バンク」で物件を検索してみた。遠井は埼玉県に住んでいるが、生まれは秋田県。故郷周辺の情報を見ると、郡部であれば土地・建物込みで100万円、200万円といった物件があり、市部でも築年数の長い物件だと500万円程度で手に入りそうだ。