コカ・コーラ自販機事業に立ちはだかる前途多難…巨額減損処理で赤字転落
かつて日本に17社あったボトラー各社は1999年から統合を開始し、5社に集約されている。その17年の経営統合の際、約619億円ののれん代が発生した。日本の会計基準では、のれん代を毎年一定額ずつ償却するが、コカ・コーラBJHは18年からIFRS(国際会計基準)を採用している。「IFRSでは原則として毎期ののれん償却を行わない代わりに、減損テストを行って、統合時の将来計画が現実的に達成不可能と判断されれば、減損処理することになる」(メガバンク幹部)とされる。
コカ・コーラBJHは19年8月に新しい中期経営計画を発表したが、この計画が大幅な未達となったため、のれん代を全額減損処理した。計画が未達となったのは、「自販機事業の成長を読み誤ったため」(同)だった。
自販機事業はコカ・コーラBJHにとって全販売数量のうち25%を占める重要な収益源だ。値引きが常態化する小売店と違い、定価で売ることができる数少ない販売チャネルでもある。しかし、「自動販売機事業での競争は激化している。ライバルのサントリーなどと違い、外資系企業の日本事業であるコカ・コーラBJHは海外に市場を広げられない。国内が唯一の市場で、その市場変化の波を大きく受ける」(メガバンク幹部)という。