秋田・岩手で過去最高の水準…クマ被害と住宅着工激減の構造的な関係

公開日: 更新日:

 大手ハウスメーカーのOBは語る。

「秋田の年間着工の規模は、大手アパートメーカーの首都圏にある支店一つでこなす件数と大差ない。住宅供給がここまで細る地域では、空き家や耕作放棄地が増え、生活圏と山林を隔てる境界の機能が弱っているのは間違いないだろう」

 その意味で、住宅を建てる行為そのものが境界の更新になってきたとも言える。その更新が止まった土地では、野生動物が人間の生活圏に入り込みやすくなり、結果として、クマとの遭遇リスクが跳ね上がる可能性がある。しかし現状では、クマの出没地域の不動産会社では、柿の実をもいだり、草木を刈り込み、餌場になり得る要素を減らすなど、日常的な対策に取り組むしかないのが実情のようだ。

 不動産仲介コンサルタントの南智仁さんは語る。

「不動産業界には、クマの出没リスクを適切に開示し、安全性に配慮した物件づくりが求められている。防護設備の整備に加え、自治体や住民と連携した情報共有や教育も不可欠。地方物件の価値を維持するには、自然との共生と安全性の両立が避けて通れないテーマです」

 クマ問題は、もはや生態系の領域に収まる話ではない。地域の安全そのものを揺るがしかねない課題になりつつある。人口が減り続ける社会では、これまで想定してこなかった問題に向き合う必要がある。

(ニュースライター・小野悠史)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジとTBSは「朝8時戦争」“初打席”で空振り三振…テレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」独走いよいよ決定的

  2. 2

    NHKドラマ10「魯山人のかまど」は早くも名作の予感! 藤竜也は御年84歳、枯れてなお色香漂う名演技

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    フジ「月9」ドラマ初主演の北村匠海 映画では“共演者連続逮捕”のジンクスに見舞われたが…

  5. 5

    ローム、東芝・三菱電機が統合へ…パワー半導体をめぐる3社連合をデンソーが買収か

  1. 6

    元参院議員・野末陳平さん94歳 大病知らずだったが、2年前に2度の全身麻酔手術を経験

  2. 7

    中島裕翔に新木優子と熱愛報道 ファンから囁かれるHey! Say! JUMP脱退の背景と“問題児”の過去

  3. 8

    新木優子と結婚した中島裕翔は大正解! 吉田羊との“合鍵愛”報道から10年目…

  4. 9

    高市首相が自衛隊派遣めぐり安倍側近と壮絶バトル→「クビ切り宣言」の恐るべき暴走ぶり “粛清連発”も画策か

  5. 10

    「高齢者=賃貸NG」は思い込みだった? 家主が恐れる“4つの不安”を解消する方法