京都・向日市、府内初の130メートル級、ゆがんだ建設計画に立ち向かう辣腕弁護士
建築確認取り消し要求は住民200人超に拡大
発端はJR向日町駅前に京都府内で初のタワマンとなる地上38階建て、高さ128メートルの「ジェイグランタワー京都向日町」の建設計画が2020年に発表されたことだった。完成予定は2028年7月。JR西日本グループと大手不動産会社が建設工事を進めている。
京都市には元々、古都らしい条例がある。京都市市街地景観整備条例がそれで、建築物の高さやデザイン、色彩などのルールが細かく定められている。中でも高さについては地区ごとに6段階の上限が決められていて、最高でも地上31メートル(特例許可制度あり)。一般的なマンションなら10階建てぐらいだろうか。
だが、このルールは行政が異なる京都市以外では適用されない。そこで京都市の西側に隣接する向日市が着目され、京都駅まで3駅9分と好アクセスのJR向日町駅前に白羽の矢が立ったのだ。
かの京都タワーの131メートルに迫る高さのタワマンが出現することで、黙っていられなかったのが中島弁護士だった。
「タワマンには、さまざまな問題点が潜んでいます。将来的な大規模修繕と建て替えは、高齢者と今後何十年も居住していく若い人との間で費用面での利害対立が起こり、実施できずにやがて廃虚化する危険があるのがひとつ。もうひとつは、長周期地震動が発生すれば揺れて斜めに傾いたまま戻らないという専門家の指摘もあり、停電、断水など決して災害に強いとはいえない側面もあることです。実際、神戸市の三宮周辺では建設規制が敷かれています。そんなタワマンをなぜ、向日町に造らなければならないのでしょうか」
自らが代理人を務める「住みよい向日市のまちづくりを考える会」は、ついにアクションを起こす。昨年10月30日。タワマンの建築確認の取り消しを求め、京都府建築審査会に審査請求を申し立てたのだ。同会の申立人は周辺住民13人。今年5月26日には約200人の住民が新たに参加し、建築反対のうねりは日増しに大きくなっている。
最大の争点のひとつが、建設計画の進め方だ。そもそも向日町駅の出口は西側の1カ所のみ。東側に足を運ぼうとすれば線路沿いに4分ほど歩き、そこにある地下道をくぐって地上に出て、再び駅方向に歩かなければたどり着かない。往復すれば約20分。駅を挟んで東西が分断されている状態のため、住民の間で「こんな不便な駅はない。何とかしてほしい」と悲鳴が上がるなど、長年の懸案事項となっていたのだ。
そこでJR西日本と向日市が、共同で東西自由通路の整備、駅舎の橋上化、駅前広場の再整備などの計画を打ち出す。2005年から2008年にかけてのことだった。
そして2017年、東側に駅に直結する5階建ての商業ビルの建設計画が公表され、課題の東西通路もビルと結ばれる形で誕生することになった。住民たちは万歳さながらに歓迎したことは言うまでもない。


















