球団に翻弄されて…阪神・藤浪に必要なのは“聞き流す力”
16日に阪神の右腕・藤浪晋太郎(23)が久々に一軍マウンドに上がった。5月26日以来の先発で、結果は五回途中に7安打3失点で降板。5四球にあわや危険球という2死球もあって、球場を騒然とさせた。
思えば、彼ほど阪神という球団の特殊性に振り回された投手もいなかったのではないか。高卒1年目から、やれインステップがどう、シュート回転がどう、右ヒジの位置がどうだ、と欠点をあげつらわれた。
甲子園の優勝投手で素材抜群のスター候補。期待が大きい分、コーチもOBもメディアもいろいろなことを言って、それが必要以上に大きなニュースになる。まさに阪神ならでは。ルーキーイヤーに10勝(6敗)を挙げても、いや2ケタ勝ったからこそ、周囲はもっと上を望み、またぞろ四球が多いだ、力み過ぎだ、もっと低めに投げろと、おせっかいを焼く。
藤浪は5年目の今季、8試合に先発して43四死球といよいよ「暴れ馬」に拍車がかかり、危険球から崩れる悪循環に陥った。コントロールやフォームを気にし過ぎ、どんどんスケールが小さくなっているのも、入団以来ずっと耳に入り続けてきた周囲からの“雑音”と無関係ではないと思うのだ。