謎が謎呼ぶ背景 日馬富士の凶行とモンゴル力士会の深い闇

公開日: 更新日:

白鵬鶴竜も見て見ぬふりか

 ここでひとつ疑問が生じる。その場には白鵬(32)、鶴竜(32)の2横綱に加え、照ノ富士ら他のモンゴル人力士も数名いた。

 15日のテレビ朝日系「ワイド!スクランブル」に出演した貴乃花親方(元横綱)の実母、藤田紀子氏が、「周りにいた人は下の力士じゃない。同じ横綱、大関が力ずくでもいいから、どうして止めなかったのか不思議」とクビをかしげたのも当然。殴られているのが生意気な後輩とはいえ、日馬富士の振る舞いは常軌を逸している。白鵬らは止めに入るも突き飛ばされたというが、藤田氏の言うように、それでも力ずくで止めようと思えば止められたはずだ。それをせず、見て見ぬふりをしたのなら白鵬も鶴竜も共犯ではないか。

 モンゴル事情に詳しいメディア関係者は、「もし、貴ノ岩が日本人力士だったら、日馬富士はここまでしなかったはず」と、こう話す。

「この事件の背景にあるのが、角界におけるモンゴルコミュニティーです。彼らは横のつながりが非常に強い。喜びも悲しみも苦労も分かち合い、団結してきた。当然、『困っている』力士がいれば、『助けて』やる。だからこそ、日本人力士の牙城を崩し、一大勢力を築くことができた。この10年の計59場所でモンゴル人力士が53度優勝しているのも、その成果です。貴ノ岩の言葉は『僕は誰も助けないし、誰の助けもいらない』ということ。それはつまり、彼らの団結を否定し、冷や水を浴びせたようなものです」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした