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渡辺元美横浜高校 前寮母

1970年、神奈川県生まれ。父は横浜高校元監督の渡辺元智氏。幼少期から自宅に同居する野球部員と共に育つ。97年、寮母を務める母の紀子(みちこ)さんの後を引き継ぐ。2017年に管理栄養士免許を取得。父が監督を勇退した3年後の今年3月、寮母を引退。現在は桜美林大のアスリート寮で食事面のサポートを行う。6月に「横浜高校野球部 食堂物語 甲子園、連れていきます!」(徳間書店)を上梓。

息子が起こした“ガム事件” 筒香くんのひと言で救われた

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 このガム事件を知ったのは実は最近で、数年前にマネジャーから聞いて知りました。彼らの言葉で言うと、私に「チクらなかった」筒香くんはすごいなと。その優しさを知った息子は一般入試で横浜高校を受け、野球部に入りました。

 筒香くんは中3のとき、ひとりで和歌山から出てきました。寮に入る子はだいたい3月の終わりに入寮します。彼は遠方だったので先に寮生活を始めていた。いつも先輩のいる中でポツンと食堂にいました。普通は不安ですよ。心細そうにしているものですけど、彼はあまり動じない感じ。同級生もいない中、毎日ひとりで練習を見学に行っていました。

 筒香くんの2学年下になる日本ハム近藤健介くん(24=11年卒)は、料理が好きでしたね。高校野球を引退すると寮生は時間ができます。私が食堂で準備をしていると、よく厨房に入ってきて手伝ってくれました。お腹がすいたらひとりでフライパンを振ってチャーハンを作ることも。私がギョーザを包んでいたときは、「僕もやります」と言って手元を見たら上手でビックリしました。「昔、家でお母さんが包んでいたのを手伝っていたので」と言っていました。そのコンちゃんが去年の年末、紙袋を抱えて、突然、私の前に現れました。

(つづく)

【連載】横浜高校 前寮母が見た球児たち

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