あの落合でも叶わず…プロ野球初「4割打者」は誕生するか

公開日: 更新日:

 ある時、落合氏がキャンプで若手を集めて打撃指導を行った。たまたま、そのキャンプを訪れていた野球評論家が選手に「落合からどんなことを教えてもらったのか」と尋ねると、即座にこう答えたという。

「落合に教わったことは全部忘れろ! すべてその通りだが、君たちにはレベルが高すぎる」

 落合氏はロッテ時代、試合前には気象台に(本拠地だった)川崎球場の風向きや強さを聞き、その風に打球を乗せて長打を放ったと言われた。ふつうの選手は球場に掲げられた球団旗などを見て風の方向を判断するが、わざわざ気象台に――と噂されたのが落合氏らしい。それだけの技術があったからだろう。

 ちなみに落合氏のシーズン最高打率は3割6分7厘(1985年)。この年を含め、3割6分台以上のシーズン打率を2度記録しているが、これはプロ野球では3人しかいない。残る2人はいずれも左打者(元巨人のウオーレン・クロマティと、元オリックスイチロー)である。

 卓越した打撃理論と技術に加え、たゆまぬ研究と努力。そんな落合氏でさえも「打率4割」は高い壁だった。

▽富岡二郎 スポーツジャーナリスト。1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発