精彩欠き敗戦投手でも“マー君頼み”…侍Jの苦しい先発事情

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「すごくもったいない失点の仕方でした」

 8年ぶりに日本球界へ復帰した楽天田中将大(32)は、17日の日本ハム戦(東京ドーム)で今季初先発後、悔しそうにこう言った。

 開幕直前に右ふくらはぎ(ヒラメ筋)を損傷。ぶっつけ本番となった日本復帰登板は中田翔石井一成にそれぞれ一発を浴びるなど、5回3失点で敗戦投手となった。

■評論家は「物足りない」

 石井監督は「ボール自体はそこまで悪いとは思わなかった」としたものの、速球の精度などを今後の課題に挙げた。4本の安打のうち、2本塁打を含めて打たれたのは高めに浮いた速球だった。メジャー中継の解説者を務める評論家の三井浩二氏がこう言う。

「今回の投球は彼がヤンキース時代、打たれていた姿そのものだった。試合の序盤に失点を重ねることもそうです。速球は150キロ以上をマークしていたものの、数字ほどボールがいっていない印象でした。逆球も甘く入っていた。メジャー渡米前は力投型。力強い速球を軸にバンバン三振を取っていたが、ヤンキース時代は8割くらいの力で速球を動かすようになった。メジャーなら6回3失点でクオリティースタート。今回の5回3失点もそこまで酷くはない……となるかもしれませんが、日本で勝ち続けていた姿が鮮明に焼き付いているファンが物足りなさを感じるのは仕方ない。今回のような投球が続けば、メジャー復帰は難しくなるでしょう」

 まだ1試合投げただけとはいえ、2013年に24連勝を達成した時とは投球スタイルが違う。スライダーやスプリット、カットボール、ツーシームといった多彩な変化球を駆使し、投球術で打ち取るのが今の田中だ。

 それだけに評論家諸氏やライバル球団の関係者はかねて、「日本の打者はメジャーの打者より選球眼が良く、ボール球はあまり振ってくれない。その分、高めの速球で空振りを取ったり、ポップフライを打たせることも必要になる」と指摘していたが、その高めの速球に威力を欠いた。

侍ジャパンは先発投手選びが難航

 そんな田中を巡って、東京五輪の日本代表を率いる侍ジャパン稲葉篤紀監督(48)は、期待がしぼむどころかむしろ、膨らむ一方だという。

 稲葉監督は建山投手コーチとともに、東京ドームで田中の今季初登板を見守った。当初は視察する予定がなかったそうだが、田中の登板日が決まり、急きょ、駆けつけた。

 その稲葉監督は「全体的に球が高かったというところだと思う。田中投手らしいボールもしっかりあった。今日はたまたま打たれてしまったが、もちろん修正してくるだろうし、次回も非常に楽しみにしている」とコメント。メジャー復帰を視野に入れる田中にとっても、東京五輪への出場はアピールの場になるが、ベンチ入りメンバーは24人と少ない。今後の投球次第では、稲葉監督が選びたくても選べない可能性すらある。

「稲葉監督は何が何でも田中に代表入りしてもらいたい」とは、球界OB。

「先週、各球場を視察行脚した稲葉、建山コンビですが、現在の最大の懸案事項が投手陣。中でも先発は、オリックス山本由伸(22)が開幕から好調を維持する一方、日本の『ダブルエース』の一人であるソフトバンク千賀滉大(28)が左足首捻挫で離脱。巨人菅野智之(31)も、“御前試合”となったDeNA戦(横浜)で完封勝利を挙げたものの、まだ開幕から13連勝した昨季ほどの投球ができていない。建山コーチが以前から高評価していたDeNAの横手投げ右腕・平良拳太郎(25)も右肘に不安を抱えている。昨季の沢村賞投手である中日大野雄大(32)や、19年プレミア12の優勝に貢献したソフトバンクの下手投げ右腕・高橋礼(25)も、調子が上がってこない。そんな状況だけに、侍首脳陣は5月下旬から6月上旬に迫る最終メンバー決定に向け、新戦力の発掘に奔走。建山コーチは、広島森下暢仁(23)の登板が雨で翌日にズレ込むと、予定を変更。関西に延泊してチェックしたほどです」

■スポンサー集めに影響

 田中がメンバーに加われば、先発の柱として使えるだけでなく、メジャーでの実績がある分、米国など日本と野球のスタイルが異なる諸外国との対戦においてプラスになる。他のメンバーの「リーダー役」にもなれる。「一石三鳥」なのだ。

「営業的にも外せません」と、放送関係者が続ける。

「コロナ禍による五輪へのマイナスイメージが広がる中、野球を知らない人からも認知され、高い人気を誇るのは田中投手くらいといっていい。19年のプレミア12では、コロナ前にもかかわらず、チケットが売れ残った試合があったし、テレビ視聴率も韓国との決勝戦で19.2%(関東地区=ビデオリサーチ調べ)と20%超えはかなわなかった。田中投手が代表入りすれば、侍ジャパンへの注目度が高まるだけでなく、グッズ販売や、侍ジャパンのスポンサー集めにプラスになることは間違いありません」

 かねて「金メダルを取りたい」と出場に関心を示している田中は17日、改めて出場意欲を示しつつも、結果が結果だけに、トーンは低かった。次回登板予定は本拠地・楽天生命パークで行われる24日の西武戦。期待に応えるためにも、次は一味違う投球を見せられるか。

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