藤田宗一(2)第1回大会では王監督の「言霊」でベンチの雰囲気が一変、チームが一つに

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藤田宗一(2006年大会出場/現マリーンズ・ベースボールアカデミー テクニカルコーチ)

 第1回大会で指揮を執った王貞治監督(現ソフトバンク会長)。当時は大会が創設されたばかり。旅行気分というか、フワフワした気持ちで臨む選手も少なくなかったが、チームを一つにしたのが王監督だったという。

 米国での2次ラウンド韓国戦(3月15日)で敗れた日本が決勝ラウンドに進むには、翌16日にメキシコが米国に勝つしかなかった。

「周囲はそりゃあ米国が勝つでしょう、という雰囲気。だから僕も含め、みんな帰り支度をしていたんです。すると、いつもはミーティングで簡単なひと言をかけて終わる王さんが、珍しく強い口調こう言ったんです。『まだチャンスはある。何があるか分からないから気を抜くな。僕はまだ諦めていない』と」

 その言葉通り、メキシコが米国を下し、日本は世界一へと駆け上がった。

 12日の米国戦でも、王監督の言動がチームに好影響をもたらした。3対3で迎えた八回1死満塁。岩村(ヤクルト)の左飛で三塁走者の西岡(ロッテ)がタッチアップで生還した。しかし、米国のマルティネス監督が西岡の離塁が早いと抗議、判定が覆った。米メディアからも反発が起きた「世紀の大誤審」だ。

「この判定にベンチは荒れに荒れました。王監督も初めは『おかしいだろう!』と声を上げていたんですが、抗議のために一度ベンチを出て、割とすぐに戻ってきた。王さんが選手に『もう一回仕切り直そう、いくぞ』と声をかけると、空気が変わったようにみんなが冷静さを取り戻しました」

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