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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

女子マラソンで2時間10分切り…日本は記録を追うより五輪一本に的を絞るしかない

公開日: 更新日:

 2時間20分を切ったランナーは歴代83人いて、エチオピアが36、ケニアが23……。チェプンゲティッチは、名古屋ウィメンズマラソンの優勝賞金が世界最高の25万ドルに跳ね上がった22、23年に来日して連覇し、賞金が15万ドルに戻った今年、姿はなかった。ジョガーはいないとさえいわれるアフリカの賞金プロと、マラソンに特異な伝統を持つ日本の環境を考えた時、一緒になって記録を追うのが賢明とは思えない。

 確かに厚底シューズによって日本の記録も伸びた。ただ、厚底開発は、そもそもが爪先走法であるアフリカ勢の活動域を広げ、選手寿命も延ばしている。日本は、4年に一度、暑くペースメーカーも賞金もない、持久力勝負のオリンピック一本に的を絞るしかない。東京大会では一山麻緒(8位=2時間30分13秒)、パリでは鈴木優花(6位=2時間24分2秒)が入賞した実績をどう生かすのか。

 記録狙いの平坦コースを排し、時期も五輪仕様に切り替えるなど、思い切った方針転換に踏み切る時期だ。代表選考会のMGCを統括する日本陸連が、路傍で思案投げ首、袖手傍観ではせっかくの伝統もしぼんでいく。

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