故障で挫折した本格派右腕・川崎憲次郎を「技巧派の見本」として再生させたのは…

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 そんな川崎に「再生」のきっかけを与えたのが野村克也監督です。かねて投手陣には「シュートを覚えろ」と言っていたようですが、なかなか浸透させることができなかった。でも、ケガを抱え、もがいていた川崎にはそれが響いたんでしょう。改めて監督にシュートの習得を勧められると、97年に復活。98年は17勝(10敗、防御率3.04)で最多勝と沢村賞を獲得しました。この年は9完投を記録。まさに打たせて取る、技巧派の見本のような投手に変身したのには驚きました。

 通算対戦成績29勝の巨人キラーとしても名を馳せた川崎といえば、シュートが代名詞。野村監督の慧眼もそうですが、それを受け入れて復活を遂げた川崎も一流。まあ、今でも性格は変わっていませんけどね。僕を見るや、昔と同じように「哲ちゃん!」ですから。

▼いいだ・てつや 1968年5月、東京都調布市生まれ。千葉県の拓大紅陵高を経て、86年ドラフト4位で捕手としてヤクルト入団。日本一と称された中堅守備と俊足を生かした打撃でヤクルト黄金期を支えた。2006年に楽天で引退。07~13年はヤクルトで、15年から昨季までソフトバンクでコーチを務めた。現役通算1505試合で1248安打、363打点、48本塁打、234盗塁、打率.273。ゴールデングラブ賞7回(91~97年)、92年盗塁王。日本シリーズ優秀選手賞2回(92、93年)。

 ◇  ◇  ◇

 当記事ページ下部の関連記事からは、飯田氏による同連載「すべては野村ヤクルトが教えてくれた」(2020年)を読むことができる。プロ野球ファンは要チェックだ。

(火・水・木曜公開)

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