あの落合博満さんが「オラーッ!!」と激昂…僕の“完璧な球”は三冠王打者の逆鱗に触れた
ミーティングでは“落合対策”として、「内角にストレートを投げ込んで、のけぞらせるようにしろ」と指示も出ていました。本当に当ててはいけませんが、当てるくらいの気持ちがないと、ボールが甘く入ってしまうんです。落合さんは、失投は絶対に見逃しませんでしたからね。
91年4月、神宮球場での中日戦。ボクはミーティング通り、落合さんに内角攻めを敢行しました。いい打者というのは、ボールをよけるのもウマい。頭部付近に渾身のストレートを投げ込むと、落合さんは体を大きくのけぞらせました。
グキッ!
その瞬間でした。なんと落合さんはよけた反動で足を捻挫。その後、約1カ月もの間、二軍で調整することになったのです。落合さんには気の毒でしたが、ボクとしてはこれほど完璧なボールはなかったと思います。これに味をしめたボクは、落合さんが復帰した後、再びインハイにストレートを投げ込みました。同じようにのけぞった落合さん。その直後でした。普段は冷静沈着な人が「オラーッ!!」と大声で怒鳴りつけてきたのです。
「あんな落合、見たことないぞ!」