ロッテ・サブロー新監督が標榜する「昭和のキャンプ」…伝説の鬼コーチが壁を背にして酒を飲んだワケ
野手も同様だ。
「朝食時間のはるか前から、宿舎前のグラウンドからカーン、カーンという打球音が聞こえてくる。『こんな早朝からうるさいな』と思って窓からグラウンドを見ると、長嶋さんがスイッチに転向させた松本(匡史)の打撃練習につきあって、マシンにボールを入れている。文句は言えませんでした」
その松本氏も日刊ゲンダイの連載でこう振り返っている。
「伊東の宿舎の窓から見下ろす、すり鉢状の底にグラウンドがあった。初日、起床して8時半に窓の外を見ると、『鳥かご』といわれるネットに囲まれた打撃練習場の前でユニホームを着た長嶋監督が立っていた。練習開始は10時のはず。早出特打などの約束はしていない。でも『監督は私のことを待っているんだ』とすぐに分かった」
「朝食も取らず、すぐにユニホームに着替え、バットを持って急いで階段を駆け下りた。左打ちで掲げたボクの目標は『1日1000スイング以上』。その頃、日本シリーズで大活躍。MVPに輝いた広島・高橋慶がスイッチヒッターに転向した頃、『1000回素振りしていた』と聞いたからである」