【スペシャル鼎談 箱根駅伝とはなにか】(前編)国内屈指のメガイベントをOB、作家、ライターが語る

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「チームとは何ぞや? の謎をずっと追い掛けています」

 ──予選会で敗退した大学から選ばれた選手が、関東学連というチームの一員として箱根を走る。

堂場「本戦に出場する大学のチームと関東学連のチームは一体何が違うのか? 彼らはどんなモチベーションを持って走るのか? 翌年の自分の母校のチームに好影響を与えたいと思って走っているのか? そもそも関東学連というのはチームなのか? 個々の選手が単に<自分の大学名の入っていない>襷をつないでいるだけなのか? <仲間のために走りたい>という駅伝は、ある意味で究極のチームスポーツでありながら個人競技の色彩も強い。チームとは何ぞや? いまだに答えを見つけることができません。ずっと謎を追い掛けています。でも答えがないから、こうして小説を書いているのでしょう」

 ──佐藤さんは、10月29日に「箱根2区」を徳間書店から刊行。往年の名選手から現役ランナーまで取材し、「花の2区」を題材に渾身のノンフィクションを仕上げた。

佐藤「1年前に3人の山の神(順天堂大の今井正人氏、東洋大の柏原竜二氏、青学大の神野大地氏)を中心に取材を進めて『箱根5区』(徳間書店)を出しました。箱根駅伝ファンの方には山上りの5区のファンが多いし、山の神たちの魅力的なキャラクターにも引かれた。その5区について取材しながら『次は2区のドラマを書きたい』と。箱根駅伝は2区と5区の重要性が高く、各大学の監督は2区と5区の出場選手を決め、それから他の区を誰に走らせるのか、考えていると思います。強い留学生が集まり、エースと呼ばれる日本人選手も出走する2区は、選手たちの個性が際立っている分、いろいろなドラマが生まれます」

 ──2区も5区も例外ではないのですが、各区間の出走選手がレース当日朝に変更されることも珍しくありません。各監督は、苦悩を重ねながら出走メンバーを決めているのでしょうが、外された選手の無念を思うだけで胸が痛くなる駅伝ファンも少なくありません。

神野「僕自身、直前に外される経験はしていないのですが、すぐ隣には外された選手がたくさんいました。彼らの気持ちを100%理解しているとは言えませんが、『外れた選手の思いと一緒に走る』という強い気持ちが、間違いなくレース結果につながっています。どの監督さんも好き嫌いで選ぶなんてことは絶対にありません。青学大の原監督の凄いところは『部員の1番から10番目の選手を選ぶ』のではなく、14番目や15番目の選手であっても『必ずやってくれる』と判断したらメンバーに入れることをためらわず、しかも1日目の往路で起用することもあります。『なんて残酷な……』と思ったこともありますが、抜擢された選手が期待に応えて好記録で走り切ることが多く、どんな基準で選んでいるのか、分からない部分もあるのですが、原監督の『優勝するためにこのメンバーで行く! 責任はオレが取る』という判断力と決断力には凄い! と言うしかありません」

 ──優勝候補・青学大の出走メンバーは誰が選ばれるのか、箱根駅伝の見どころのひとつです。

※後編は1月1日、公式サイト「日刊ゲンダイDIGITAL」にアップします。

(取材・構成=絹見誠司/日刊ゲンダイ)

【参考】箱根駅伝のテレビ中継は1979年からテレビ東京が最終10区やゴールなどを放送。87年に日本テレビが全区間の全国生中継を実現した。

▽堂場瞬一(どうば・しゅんいち)1963年5月21日生まれ、茨城県出身。青学大国際政治経済学部卒業。2000年に出した野球小説「8年」で小説すばる新人賞を受賞し作家デビュー。主に警察小説、スポーツ小説を中心に多くの作品を手掛けている。主な著書に「刑事・鳴沢了」シリーズ、駅伝小説の「チーム」シリーズなど。

▽神野大地(かみの・だいち)1993年9月13日生まれ、愛知県出身。青学大総合文化政策学部卒業。箱根駅伝は2年次2区6位、3年次5区区間賞、4年次5区2位。3年次の青学大初優勝、4年次の連覇に貢献した。コニカミノルタを経てプロランナーに転向。現在はM&Aベストパートナーズの選手兼監督。

▽佐藤俊(さとう・しゅん)1963年3月5日生まれ、北海道出身。青学大経営学部卒業。出版社を経て93年にフリーのスポーツライターとして独立。サッカー、陸上競技に軸足を置いて精力的に取材・執筆活動を続けている。主著に「稲本潤一 1979-2002」「宮本恒靖 学ぶ人」「箱根0区を駆ける者たち」など。

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