「何年やってもバッティングは難しい」 衣笠祥雄さんの“鉄人講座”は深夜に及んだ
衣笠さんは水割りをグイグイあおりながら、バッティングや走塁、ときには人生について熱く語ります。ためになる話ばかりですが、プロ3年目の若造には、とうてい理解できないバッティング理論も出てきます。
「マメ。何年やってもバッティングは難しいもんだな……」
「鉄人講座」は深夜の3時にまで及ぶこともあり、ボクは何度も睡魔に襲われます。重くなってくるまぶたを閉じるわけにはいきません。大先輩から視線をそらさぬよう右手で尻を思い切りつねります。痛くても無表情を貫きます。そして鉄人のお開きの言葉はいつもこうです
「マメ、大丈夫だよ。大丈夫」
布団に入った衣笠さんは電気を消すとすぐ寝息をたて始めます。朝起きると、やっぱり4枚敷き布団にその姿はありません。寝相の悪さに呆れたボクは後日、衣笠さんからプロ魂を教わることになります。(この項つづく)
▽ながしま・きよゆき 1961年11月、静岡県浜岡町出身。79年自動車工高からドラフト外で広島入団。チャンスに強い打撃と好守の外野手として広島の黄金時代を支える。83年国内初の背番号「0」。ゴールデングラブ賞4回、84年日本シリーズは3本塁打を放ちMVP。91年中日移籍、93年ロッテ、94年から97年阪神。現役引退後は、野村、星野、落合監督のもとで、阪神、中日の打撃、一軍守備走塁コーチなどを歴任。06年オフ中日退団。通算1477試合、1091安打、107本塁打、448打点、94盗塁、打率.271。170センチ、81キロ、左投左打。


















