元NHK吉田賢アナが見通す 大の里と安青錦…初めて負け越した彼らの「第2章」
22歳が直面する初めての壁
安青錦はこれまでプレッシャーに強いことを証明してきた。横綱大関と、前頭上位の実力者に挟まれる難しい新三役で2桁白星。新関脇で初優勝。新大関でも連続優勝を遂げている。その安青錦をもってしても、この綱取りの重圧は別もので、はね返せなかった。序盤をうまく乗り切れず、かつ3連敗したときには「どうしていいか分からない」と師匠に吐露したという。綱とりとは常人には計り知れないものなのだろう。
相手力士に研究されたのもある。いかに安青錦の上体を起こすか、対戦相手は練ってきた。甘くなった脇を攻められ、起こされた場面が目についた。
さらにもう一つ。彼は体を大きくして場所に臨んだ。1月場所以降、稽古をしながら増量し、筋力トレーニングも続けたようだ。私も現地で土俵上の安青錦をみて、体に厚みが増していて、背中も筋肉で盛り上がっているのに驚いた。
しかし同時に感じたのは、大きく重くなったその体に、彼自身が慣れていないのではないか、ということだ。稽古で番数をこなすタイプでないこともあって、大きくなった上体と自身の感覚がまだ合致しておらず、それが存外のもろさにつながったのではないだろうか。
こうして今、超スピードで番付を駆け上がってきた22歳が、初めて壁に当たっている。心の揺らぎ、大きく重くなった自身の体、相手からの研究に足のケガ──。これらにいかに対処するか。5月場所までまだ1カ月ある。求道者・安青錦なら、やがて乗り越えるだろう。
むこう10年は角界を背負うだろう2人の第2章に期待したい。
(構成=山家圭)


















