(1)忍び寄る“暗黒時代”の足音…リーグ連覇の陰で深刻化した「主砲依存」と極度の育成不全
二軍は「一軍で通用しそうな選手が見当たらない」
チームのジリ貧が不安視されるのは、二軍の惨状ともリンクしている。今季は126試合で49勝63敗14分け。首位ソフトバンクに17.5ゲームもの大差をつけられた。打線も西地区で打率.235、47本塁打、長打率.319と軒並み最下位。とりわけ他地区との交流戦は10勝21敗と惨敗。巨人には5戦全敗、西武には1勝5敗、DeNAにも3戦全敗と、関東勢にまるで歯が立たず、在京球団の編成担当は「レベルが低い。一軍で通用しそうな選手が見当たらない」と辛辣だった。
平田勝男二軍監督(67)も危機感を募らせる。8月21日、ソフトバンクに0-13で大敗した際には、球団アナリストの分析として、ストライクを打つ割合などが「14球団で一番ウチが劣っている」と嘆いた。ソフトバンクの育成選手と比べてもスイング速度や体格の差は歴然だというのだ。
これでは若手の突き上げなど望むべくもない。二軍最多本塁打は百崎蒼生(21)のわずか5本。山田脩也(21)は93試合で打率.214、4本塁打、101試合に出場した谷端将伍(22)は打率.231、0本塁打だった。井坪陽生(21)は打率.286と健闘したものの、1本塁打。今季から野手に転向した西純矢(25)も一軍レベルには程遠い。前出の立石にしても、二軍で打率.246、4本塁打、179打数で52三振だった。
「育てる以前に素材の問題」と指摘する他球団関係者もいるだけに、事態は深刻だ。
つまるところ、阪神は佐藤、森下ら即戦力のドラフト上位組が主力に定着した半面、二軍から次々に若手が育つような環境を構築できていない。育成方法だけでなく、スカウトの素材を見る目まで問われている。
「投手陣も今後は盤石とは言えなくなる。村上頌樹(28)、才木浩人(27)、高橋遥人(30)の先発3本柱はリーグ屈指ですが、今のパフォーマンスがいつまでも続く保証はない。特に故障歴のある高橋は今季の反動が気がかり。救援陣も今季は守護神・工藤らのイニングまたぎを織り交ぜて白星を拾ってきたものの、そのツケが最後の最後に回ってきた。CS最終戦では八回無死一、二塁のピンチで登板した工藤が九回も続投し、『あと1球』から逆転を許した。藤川監督も試合後、継投の形が苦しかったことを認めるベンチワークを取らざるを得ない。CSも含めて59試合に登板した工藤も来季の反動が心配です」(コーチ経験のある球団OB)
球団史上初のリーグ連覇という快挙の裏に隠れていた戦力のほころびが、CSの惨敗によって一気に表面化した。忘れかけていた1980年代後半から長く続いた「暗黒時代」の足音が、ひたひたと近づいているのかもしれない。 (つづく)


















