積み上げてきた平和国家、一瞬にして瓦解 歴史に刻まれるであろう2.8総選挙の暗黒とこの国の行く末(上)

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■国民の選択とはいえ、マトモな識者は天を仰ぐ悪夢の結末

 午後8時の投票締め切りと同時に報じられた高市圧勝──。中道の大物議員は次々に落選し、開票速報ボードは自民一色になっていく。

 この光景を評論家の佐高信氏は「日本が崖から落ちるように感じた。それも内政干渉のトランプに背中を押されて」と言ったが、よくわかる。今度の選挙では国民の高市人気とは裏腹に、識者の間では「絶対に勝たせてはいけない」という声が強かった。なにしろ、前言を平然と翻し、予算案を放置した身勝手解散である。「国論を二分する」中身も語らず、高市早苗の信任選挙と位置づけ、「勝ったらどんどん進めさせてもらう」といわんばかりだった独裁手法。そのくせ、党首討論から逃げる姑息。マーケットが警鐘を鳴らした積極財政の危うさ。選挙期間中に炸裂した統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との疑惑。高市の不安を挙げていけばきりがない。

「そのうえ、例の円安ホクホク発言でしょう。あれは日本を破産させます、という話です。本来だったら、財界が怒り、自民党の保守本流の政治家と組んで、高市潰しに出なければおかしい。ところが、最後は世界中がおかしいと思っているトランプ大統領に支援されて圧勝なんて、悪夢以外のなにものでもありません」(佐高信氏=前出)

 はしゃぐ高市は今や、我が世の春である。ヒトラーも1933年、内閣発足2日後に議会を解散し、その後、全権委任法案を可決、議会を形骸化させているが、高市奇襲選挙にも似たようなにおいが付きまとう。もともと極右の政治家が中国を敵視し、軍拡・武器輸出全面解禁、インテリジェンス強化という監視強化、憲法改正まで打ち出しているのだからなおさらだ。この選挙で、日本が戦後80年かけて築き上げてきた平和国家の理想、理念は完全に消えてしまった。

 国民の熱狂とは裏腹に戦後を懸命に生きてきた識者の間に去来しているのは打ちのめされるような虚無である。ノンフィクション作家の保阪正康氏はこう言った。

「私たちは戦後、侵略戦争を反省し、きちんとした民主主義を受け入れるということで、本当に純粋な精神で国際社会に復帰したのです。その精神を忘れたかのように憲法改正やスパイ防止法の話が超短期決戦の選挙戦の最中に出てきて、あれよあれよで圧勝です。この選挙結果には当然、中国をはじめ東南アジアの国々は警戒していますよ。政治が不作法なやり方をしようとするとき、有権者はきちんと判断しなければいけないのに、その判断の余裕すらなくなっているのだとしたら、それは日本人全体の責任になります」

 この選挙結果の代償はあまりにも大きい。

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