「増補二人の天魔王 信長の正体」明石散人著
「二人の天魔王」とは織田信長と室町幕府6代将軍、足利義教のこと。並び称せられるのが驚きだが、どちらがすごいかといえば、本書で「無類の上」として信長以上に評価するのが義教だ。
戦国時代の最大のスター、当時から戦前までの350年間、ただの一度も歴史の表舞台に登場しなかった人物で、戦後の東映時代劇がスポットを当て、秀吉や家康に勝る人物として取り上げられるようになった。著者は信長の偉業、合戦の評価なども後世に作られたものと指摘。本能寺の変の真相にも鋭く迫る。
しかも、信長が取ったさまざまな策はすべて義教が先駆だったという歴史の不思議をひもとく。信長はどうまつり上げられ、義教はなぜ埋もれたのか。日本史は奇々怪々だ。
(ビジネス社 2200円+税)