「犬死伝」小嵐九八郎著

公開日: 更新日:

 主人公は、江戸赤坂に住む小島四郎左衛門将満。郷士にして大地主の小島兵馬の三男として生まれたが、長兄は亡くなり、次兄は旗本にもらわれたため、跡取りとして育てられた。

 農村の生活を知る四郎は、自らの娘でさえ生活の厳しさのために身売りに出さなければならない農民の生活の苦しさを知っていたため、「年貢半減」と「倒幕」という夢を抱くようになり、「青雲隊」を結成。後の西郷隆盛である薩摩藩の西郷吉之助との出会いを経て、相楽総三と名乗るようになり、幕府に揺さぶりをかけるべく強盗や放火に及んだ。しかし、そうした志と反するかのように、いつしか薩摩に裏切られ「偽官軍」と呼ばれて追われる身となっていく。

 幕末期、相楽総三が率いる青雲隊が赤報隊となっていく過程や、その後の歴史をもとに描かれたフィクション。世直ししたい一心で理想に燃えて突き進む青年の目を通して、混乱極まった江戸で起きた駆け引きと悲劇を追う。(講談社 1900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  2. 2

    一発退場のAぇ!group福本大晴コンプラ違反に「複数人関与」疑惑報道…旧ジャニ“インテリ”枠に敬遠の風向き

  3. 3

    だから今年の日本女子オープンはつまらない…“簡単コース”で予選カットラインは史上最少「-1」

  4. 4

    崖っぷち渋野日向子に「日本人キャディーと縁を切れ」の声…外国人起用にこれだけのメリット

  5. 5

    囁かれていた「Aぇ!group」は「ヤベぇ!group」の悪評判…草間リチャード敬太が公然わいせつ容疑で逮捕の衝撃

  1. 6

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  2. 7

    阪神・才木浩人はドジャース入りで大谷と共闘の現実味…「佐々木朗希より上」の評価まで

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  5. 10

    男子の試合はガラガラ…今年のANAオープンのギャラリー数を知って愕然としました