「マフィア帝国ハバナの夜」T・J・イングリッシュ著、伊藤孝訳

公開日: 更新日:

 米国との国交回復で注目を浴びるキューバの歴史をひもとけば、独裁政権下で勢力を伸ばしたマフィアの暗躍があった。本書は、キューバ革命の裏側で首都ハバナを舞台に繰り広げられたマフィアの興亡史だ。

 1940年代後半から50年代、マフィア界の頭脳派と呼ばれたマイヤー・ランスキーとシチリア系マフィアの最高実力者であるチャールズ・ルチアーノがハバナにやってきた。華やかなカジノホテルやナイトクラブの経営を足掛かりに、彼らが目指したのは、犯罪国家の創立。バティスタ独裁政権と手を組み、犯罪から得た利益を「合法的」に政府の傘の下に隠して、キューバをむさぼりつくそうとしたのだ。

 しかし、この時期キューバ南東部ではフィデル・カストロ・ルスが率いる革命運動の物語も始まっていた。シナトラやケネディをも取り込み、バティスタ政権に巣くったマフィアと、革命に邁進するカストロとの攻防は、今の日本にも示唆に富む史実を残している。(さくら舎 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    宮城野部屋「永久閉鎖」コースを匂わす元横綱・白鵬、弟子もろとも浅香山部屋への移籍案

    宮城野部屋「永久閉鎖」コースを匂わす元横綱・白鵬、弟子もろとも浅香山部屋への移籍案

  2. 2
    志村けんさん女性関係も堂々と…放送されなかった交際相手

    志村けんさん女性関係も堂々と…放送されなかった交際相手

  3. 3
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 4
    松本人志が裁判の前に問われているのは“遊び方の質”だ…北野武は「せこいよ」とバッサリ

    松本人志が裁判の前に問われているのは“遊び方の質”だ…北野武は「せこいよ」とバッサリ

  5. 5
    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

  1. 6
    大谷翔平は野球だけでなく“新妻の隠し方”も超うまかった 結婚は引退後…の予想を見事に裏切る

    大谷翔平は野球だけでなく“新妻の隠し方”も超うまかった 結婚は引退後…の予想を見事に裏切る

  2. 7
    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

  3. 8
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9
    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

  5. 10
    頬ゲッソリで覇気なし 相撲解説の貴乃花親方“異相”が話題

    頬ゲッソリで覇気なし 相撲解説の貴乃花親方“異相”が話題