「かがみの孤城」辻村深月著

公開日: 更新日:

 安西こころは公立中学へ進学してすぐにクラスの女子からひどい仕打ちを受け、5月から学校へ行けなくなる。

 悶々としていたある日、部屋の鏡が突然光り始めた。鏡は童話に出てくるような豪壮な城への入り口で、城には、狼の面を着けた少女「オオカミさま」の監視の下、こころを含め7人の男女が集められていた。来年の3月30日までに「願いの部屋」の鍵を見つけた者は、どんな願いもかなう。ただし、この城に居られるのは9時から17時までで、それを守らない場合は狼に食われるというのだ。

 全員学校に行っていない中学生で、この城以外に居場所のない7人は、徐々に互いの存在を大切に思うようになる。だが、期日が来ればここでの記憶はなくなり、別れなくてはならない。それだけはイヤだ。では、どうすればいいのか?

 彼ら7人が選ばれたのはなぜかという謎を軸に、おのおのが抱える闇が明かされていくのだが、物語が進むにつれ、それらが一つに結び合わされていく。謎を収斂させていく手際は見事というほかなく、日本オリジナルのファンタジーとしても秀逸。(ポプラ社 1800円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    女性を巡る愛憎より友情が勝った永遠のバディー

  2. 2

    萩本欽一〈27〉坂上二郎さんは一番特別な人。あのボケは誰にもできないよ

  3. 3

    かつての「打率4割男」は期待外れで戦力外…西武・林安可は母国・台湾野手の低評価を覆せるか

  4. 4

    佐々木朗希と山本由伸は“抱き合わせ”だったのか…ドジャース入りの裏で「謎の日本人」が暗躍

  5. 5

    48年ぶり映画出演の由美かおるさんが語る 人生が変わった瞬間「11PM」「水戸黄門」エピソード

  1. 6

    佐々木麟太郎に「個別育成プログラム」…マーリンズ入りには低予算球団ならではの“うまみ”あり

  2. 7

    佐藤二朗の地上波ドラマはしばらく厳しいが…橋本愛の事態はもっと深刻

  3. 8

    佐藤二朗vs橋本愛ハラスメント騒動は「文春嫌い」「フジテレビ嫌い」「共産党嫌い」が絡み合うカオスに

  4. 9

    (3)「森保監督は『指揮官に必要な冷徹さ』を確固たる信念として持っています」

  5. 10

    小栗旬がハリウッド“資本”映画で主演も… トラウマ級の英語力と「スター」への高い壁