「アノニム」原田マハ著

公開日: 更新日:

 民主化運動のデモで盛り上がる香港に住む高校生・張英才は、小さな頃から文字がすべて絵に見えてしまう難読症の青年。自らをアーティストと信じ、夜中にひとりキャンバスに向かうのが常で、アートで世界を変えたいという野望を持っていた。そんな彼のもとにある日、「アノニム」と名乗る主から「1枚の絵で世界を変えてみないか?」という謎のメッセージが届く。アノニムとは、フィレンツェの「受胎告知」を盗み出した後、その絵を修復・クリーニングまでした上で絵の裏に詳細なコンディションリポートまでつけて返却してきた伝説の窃盗集団。昼間は各自が別の顔を持ち、プロジェクトが持ち上がると動き出す彼らにはある計画があった。果たしてその計画とは。そして張英才の運命は……。

「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」などアートを題材にしたエンタメ作品で定評のある作者による最新作。今回は床に置いたキャンバスに絵の具をたらす手法で絵画界を驚かせたジャクソン・ポロックの未発表作品がテーマ。芸術に対する思いがページの端々から熱く伝わってくる。(KADOKAWA 1500円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も