「アノニム」原田マハ著

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 民主化運動のデモで盛り上がる香港に住む高校生・張英才は、小さな頃から文字がすべて絵に見えてしまう難読症の青年。自らをアーティストと信じ、夜中にひとりキャンバスに向かうのが常で、アートで世界を変えたいという野望を持っていた。そんな彼のもとにある日、「アノニム」と名乗る主から「1枚の絵で世界を変えてみないか?」という謎のメッセージが届く。アノニムとは、フィレンツェの「受胎告知」を盗み出した後、その絵を修復・クリーニングまでした上で絵の裏に詳細なコンディションリポートまでつけて返却してきた伝説の窃盗集団。昼間は各自が別の顔を持ち、プロジェクトが持ち上がると動き出す彼らにはある計画があった。果たしてその計画とは。そして張英才の運命は……。

「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」などアートを題材にしたエンタメ作品で定評のある作者による最新作。今回は床に置いたキャンバスに絵の具をたらす手法で絵画界を驚かせたジャクソン・ポロックの未発表作品がテーマ。芸術に対する思いがページの端々から熱く伝わってくる。(KADOKAWA 1500円+税)

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