「アノニム」原田マハ著

公開日: 更新日:

 民主化運動のデモで盛り上がる香港に住む高校生・張英才は、小さな頃から文字がすべて絵に見えてしまう難読症の青年。自らをアーティストと信じ、夜中にひとりキャンバスに向かうのが常で、アートで世界を変えたいという野望を持っていた。そんな彼のもとにある日、「アノニム」と名乗る主から「1枚の絵で世界を変えてみないか?」という謎のメッセージが届く。アノニムとは、フィレンツェの「受胎告知」を盗み出した後、その絵を修復・クリーニングまでした上で絵の裏に詳細なコンディションリポートまでつけて返却してきた伝説の窃盗集団。昼間は各自が別の顔を持ち、プロジェクトが持ち上がると動き出す彼らにはある計画があった。果たしてその計画とは。そして張英才の運命は……。

「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」などアートを題材にしたエンタメ作品で定評のある作者による最新作。今回は床に置いたキャンバスに絵の具をたらす手法で絵画界を驚かせたジャクソン・ポロックの未発表作品がテーマ。芸術に対する思いがページの端々から熱く伝わってくる。(KADOKAWA 1500円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒

  4. 4

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  5. 5

    国分太一の不祥事からたった5日…TOKIOが電撃解散した「2つの理由」

  1. 6

    国分太一は会見ナシ“雲隠れ生活”ににじむ本心…自宅の電気は消え、元TBSの妻は近所に謝罪する事態に

  2. 7

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  3. 8

    「ミタゾノ」松岡昌宏は旧ジャニタレたちの“鑑”? TOKIOで唯一オファーが絶えないワケ

  4. 9

    中居正広氏=フジ問題 トラブル後の『早いうちにふつうのやつね』メールの報道で事態さらに混迷

  5. 10

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償