「アノニム」原田マハ著

公開日: 更新日:

 民主化運動のデモで盛り上がる香港に住む高校生・張英才は、小さな頃から文字がすべて絵に見えてしまう難読症の青年。自らをアーティストと信じ、夜中にひとりキャンバスに向かうのが常で、アートで世界を変えたいという野望を持っていた。そんな彼のもとにある日、「アノニム」と名乗る主から「1枚の絵で世界を変えてみないか?」という謎のメッセージが届く。アノニムとは、フィレンツェの「受胎告知」を盗み出した後、その絵を修復・クリーニングまでした上で絵の裏に詳細なコンディションリポートまでつけて返却してきた伝説の窃盗集団。昼間は各自が別の顔を持ち、プロジェクトが持ち上がると動き出す彼らにはある計画があった。果たしてその計画とは。そして張英才の運命は……。

「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」などアートを題材にしたエンタメ作品で定評のある作者による最新作。今回は床に置いたキャンバスに絵の具をたらす手法で絵画界を驚かせたジャクソン・ポロックの未発表作品がテーマ。芸術に対する思いがページの端々から熱く伝わってくる。(KADOKAWA 1500円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」