「弁護士の格差」秋山謙一郎著
かつて「プラチナ資格」といわれ、高収入と社会的地位が約束されていた弁護士だが、今は「取得までの苦労が多い割に報われない資格の筆頭」とまでいわれているそうだ。そんな弁護士の実態を告発するルポルタージュ。
バブル崩壊以降、弁護士の所得は減り続け、今や半数が年間所得約400万円で、平均的サラリーマン以下だという。低所得化によって、専門性の高い事件を法律家の矜持にかけて手弁当に近い価格で引き受ける余裕がなくなり、冤罪の可能性が疑われる刑事事件や、医療過誤事件などに連座した無辜の民や経済力に乏しい市民にも、しわ寄せがきているという。
こうした弁護士間の経済格差から、経験不足から生じる「スキル格差」や「意識格差」など、弁護士界の知られざる現実を伝える。(朝日新聞出版 720円+税)