「胃弱のトリセツ」池谷敏郎著

公開日: 更新日:

 食欲が湧かない、食後に気持ち悪くなる、胸焼けがするなど、何らかの胃の不調を感じている人は少なくない。本書では、これらの状態を“胃弱”と呼び、その原因や解消法を伝授している。

 胃弱の原因にはピロリ菌などもあるが、あまり知られていないのが機能性ディスペプシア(FD)だ。ディスペプシアとは消化不良を意味するが、検査を受けても潰瘍や炎症などが見つからず、胃以外の病気が影響しているわけでもない。かつては“気のせい”と片付けられることもあったが、現在ではFDが保険病名として認められ、治療を受けられるようになっている。

 FDの治療には、胃の働きを良くする薬や胃酸の分泌を抑える薬などによる薬物療法が用いられている。一方、FDを引き起こす要因には、身体的な疲れや精神的な負荷、睡眠や生活リズムの乱れなどが関係すると考えられている。そのため、生活習慣を改善して自律神経を整えることで、症状の緩和が期待できる。

 例えば、体を冷やさない工夫をすること。私たちが「寒い」「冷たい」と感じるとき、自律神経は体内から熱を逃がさないように血管を収縮させる。すると、内臓へ送られる血流も滞り、胃の働きを低下させる。また、ネギやニンニクを食べるときは、水にさらすか加熱すること。これらに含まれる硫化アリルには疲労回復効果があるが、胃弱の人が生で摂取すると胃粘膜を過剰に刺激し胸焼けや吐き気の原因になる。

 副交感神経を優位にする「イヤイヤ体操」なども紹介。足を揃えてまっすぐに立ち、子供が“イヤイヤ”をするように肩を前後に動かすだけで、リラックスでき胃が活発に動きだす。胃弱を克服して、心と体の健康を目指そう。

(毎日新聞出版 1100円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

  2. 2
    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

  3. 3
    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

  4. 4
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 5
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  1. 6
    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

  2. 7
    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

  3. 8
    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

  4. 9
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  5. 10
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗