「津軽の髭殿」岩井三四二著

公開日: 更新日:

「津軽の髭殿」岩井三四二著

 津軽の大浦城の城主、大浦為則は病弱で、もう長くはないことは公然の秘密だった。息子2人はまだ幼く、長女は既に嫁いでいるため、次女のおうらが婿を迎えれば、次の城主の候補となる。

 岩木川の支流近くの堀越の館に住む弥四郎は、天下を取ろうと、野望を抱いていた。その弥四郎をおうらと妻合わせようという話が出る。大浦家の3人の家老は、弥四郎が武勇に優れ、家柄も申し分ないことは認めているが、城主となるにふさわしい、文武そろった人物であるか、試そうとしていた。城主が帰依している徳の高い僧に、弥四郎の人柄を見てもらうというのだ。

 以前から「おうらの婿になれ、そうして大浦城を乗っ取れ」と弥四郎を鼓舞していた母は、あんな小さな城ごときでとうそぶく弥四郎を、「一城を取るのは一大事ぞ」とにらみつけた。

 本州最北の地から天下を狙った津軽為信の人生を描く時代小説。

(光文社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」