「大大陸に陽は落ちて」海老名香葉子著 ちばてつや著・画クミコ歌

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「大大陸に陽は落ちて」海老名香葉子著 ちばてつや著・画クミコ歌

 香葉子は3回同じ夢を見た。職人の家の玄関の三和土にあった白いハイヒールを、心を躍らせながら見つめていたのだ。それは従姉の咲の靴だった。

 咲の一家は、かつて満州にいて、戦後、引き揚げ船を待っていた。ある日、弟の章吾と歩いていた咲はロシア兵に襲われる。咲は茂みの中に引きずり込まれ、弟は助けようとしたがどうすることもできなかった。咲の兄の岩太郎は、家族を満州に呼び寄せたことを悔やんだ。岩太郎は引き揚げ団の副団長になり、みんなに頼りにされたが、やがてチフスにかかって死んだ。

 戦災孤児の海老名と、満州から引き揚げてきたちばてつやの対談、海老名の詞に曲をつけたものをクミコが歌うCD付き。

(鳳書院 3400円)

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