「日の出」佐川光晴著

公開日: 更新日:

「日の出」佐川光晴著

 明治41年春、中学2年に進学した清作は近所に住む豪商の息子・幸三郎の手引きで故郷の小松を出る。兵役から逃れるための出奔だった。日露戦線から戻ってきた父親の死にざまを見て以来、清作は戦争が恐ろしくて仕方がないのだ。末は大将か大臣といわれるほど文武に優れた幸三郎の紹介で、美作の鍛冶屋で働き始めた清作だが、兄の探索から逃れるため、筑豊の炭鉱へと流れつく。

 一方、現代を生きる大学生のあさひは、母方の曽祖父にあたる清作に興味を抱く。誰も詳しいことを知らなかったからだ。中学生のときの在日朝鮮人の転校生との1日だけの出会いをきっかけに教職を目指すあさひは、採用試験を終えたら清作について調べてみるつもりだ。

 過去と現代を行き来しながら清作の数奇な人生を描く長編小説。

(集英社 770円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー