「わたしたちは、海」カツセマサヒコ著

公開日: 更新日:

「わたしたちは、海」カツセマサヒコ著

 ずっと内陸部で育った「俺」は母と一緒に父親から逃げ、さらに母親からも逃げるように上京して20年近く東京にいたが、2カ月前に海の近くのアパートに引っ越してきた。

 ハンバーガーショップに入ったとき、「もしもし」と声をかけられた。昔付き合っていた深水サチコだった。12年経って38歳になっていた。話を聞いてほしそうだったが、息子のお迎えがあるからと帰って行った。

 俺は店を出て、海とは反対の方向に向かった。恋愛とはほど遠い映画を見たいと思ったが、映画館は「臨時休業」だった。後日、再会した時、サチコは実は夫とは別れたと言った。(「徒波」)

 海の近くの街で生まれた7編の物語。 (光文社 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です