バス、最後の砦

公開日: 更新日:

「日本のバス問題」佐藤信之著

「日本のバス問題」佐藤信之著

 JRと地下鉄と私鉄網が覆う東京でさえ、バスでないと不便な地区はたくさんある。特に目立つのが足腰の弱った高齢者だ。しかし人口減少と民営化でバス路線は縮小ぎみ。しかもインバウンド旅行者を満載した貸し切りバスは都心の渋滞を悪化させたりするのだ。全国に目を向けると公共輸送機関として最後の砦といわれるバス事業の経営環境は厳しい。

 本書は鉄道史を中心に日本の公共輸送機関をテーマとした著書を多数著してきた著者の最新刊。特に注目されるのは新自由主義(ネオリベ)政策によるバス路線への影響。ネオリベはコストを敵視し、収益性に血道を上げる。結果は公共性の圧迫。規制緩和で高速バス事業への新規参入は容易になったが、代わりにツアーバスが増加して小規模の貸し切りバス会社が急増。経営者自らがハンドルを握る自転車操業などが増加して事故のリスクも高まった。

 本書は新書形式でこうした問題をすみずみまで点検。国も独占禁止法特例法の制定などで地方自治体が複数業者と調整しながらの運賃プール制など共同事業計画も可能になってきたという。縮むニッポンの未来は細かな配慮に支えられている。

(中央公論新社 1375円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網