公開日: 更新日:

「羽柴秀長と豊臣政権」渡邊大門著

「羽柴秀長と豊臣政権」渡邊大門著

 歴史学者の評価が高いわりに知られるところの少ない秀長。秀吉が生涯に発給した文書が約7000に対して秀長はわずか130。これでは史料が少な過ぎる。しかし諸大名は秀吉より先に秀長に頼みごとをし、秀吉も公儀のことは秀長に相談せよと大友宗麟に語ったという。好人物とも伝えられる秀長の実像はなにか。これが本書の狙いだ。織田家の家臣として数々の戦役をつとめた秀吉。秀長はその先兵として困難な戦を数々戦った。特に中国地方の攻略は難儀を極め、三木城、長水城の包囲戦では敵方が悲惨な飢餓に苦しんだと伝えられる。

 秀吉の天下統一のあと、秀長は姫路の主となり、さらに紀伊・和泉、その後は大和の支配に任ぜられた。畿内一円を豊臣の一門で押さえようとした秀吉にとって秀長は最も頼りになる右腕だった。その後も九州征伐に尽力したが、50歳で病を患い、2年後に居城の大和郡山で死去した。政権中枢にあって秀吉やその後継者を支える重要な役割を期待されていた秀長。その死は秀吉にとっても大きな痛手だったろう。

 もし秀長が存命なら豊臣政権も永らえたか。この仮説に著者は必ずしも同意しない。秀吉の朝鮮出兵を止めることはなかったと推測し、基本的に秀長は、秀吉のイエスマンだったと結論している。 (筑摩書房 1012円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る