佐野広実(作家)
1月×日 もうひとつ典型的なパターンに「ミッシング・リンク」というものがある。一見すると関係ない複数の殺人が発生するが、探っていくと被害者に共通する「秘密の関係」が浮かび上がり、連続殺人だと判明する。
これなどは陰謀論の思考方法とまったく同じだろう。虚偽の事柄を「事実だ」と決めつけ、本来無関係なもの同士の間に「秘密の関係」をこじつければ、立派な陰謀論の出来上がりとなる。
難波優輝著「物語化批判の哲学〈わたしの人生〉を遊びなおすために」(講談社 1056円)は、その点で示唆に富む。ネットに氾濫する言説を鵜呑みにすると、現実社会だけでなく、己を見る目までが狂ってきてしまうのだ。歪んだ心性を小説やドラマのパターンで補強した結果が陰謀論への道を開く、ともいえる。
「あの2人、付き合ってるんじゃね」などと幼稚なゲスの勘繰りをするような心性の持ち主には特にその傾向がある、とここは断定しておこう。



















