茂森あゆみさん「紅白歌合戦で歌った『だんご3兄弟』の記憶がない…」超多忙の日々を振り返る

公開日: 更新日:

茂森あゆみさん(タレント/49歳)

「だんご、だんご」と誰もが口ずさんだ「だんご3兄弟」を歌い、1999年にNHK紅白歌合戦に出場を果たしたタレントの茂森あゆみさん。「おかあさんといっしょ」(Eテレ)のうたのおねえさんを務め、番組の中で歌われた「だんご3兄弟」は250万枚を記録した大ヒット曲になった。その道のりと紅白の瞬間を語ってくれた。

 ◇  ◇  ◇

 うたのおねえさんとして番組に登場したのは93年4月。私は大学4年でした。オーディションの募集は芸能事務所はもちろん、劇団など多くの音楽関係にあるようで、私が通っていた武蔵野音楽大学では就職課の掲示板に募集の紙が張ってありました。私はオペラ歌手を目指して勉強していたので、最初は意識していませんでしたが、「この先オペラをやるには、こういうオーディションも大事だから、受けてみたら」と先生に促され、受けてみました。

 選んでいただいたことはとてもうれしかったのですが、最初は「どうしよう」と戸惑いの方が正直大きかったです。オペラ歌手が目標なのに、子供向けの歌に百八十度変わるわけですから。でも、学長はじめ、先生方が背中を押してくれて。なので、私の人生を変えた最初の瞬間はやはり、うたのおねえさんでデビューした日ですね。

「おかあさんといっしょ」の歌を次から次へと練習し、レコーディングして、振り付けを覚えて収録。スタジオ本番に参加する数十人の子供たちはみんな3歳児。参加できる倍率は噂だと50倍くらい。すごく高いんです。子供たちがちょっとでもテレビに映ればおじいちゃん、おばあちゃんが喜ぶと聞いてましたから、私は機会があると子供に寄り添ったり抱っこしたりして、できるだけ子供が映るようにしていました。務めた6年間は一気に駆け抜けた印象です。

 99年の3月に番組を卒業すると決まったのですが、その年の1月の歌が「だんご3兄弟」でした。タンゴの軽快なリズムも個性的で、だんごに顔が描いてあるアニメもかわいらしく、いろいろと計算され尽くした曲だと思いました。

 CDになった「だんご3兄弟」がヒットしているのは知っていましたが、あそこまでヒットしているとは当時は知らなかったんです。個人的には3月に卒業する方が比重が大きく、卒業コンサートの準備などで忙しかったので。この年は「だんご3兄弟」の大ヒット、番組の卒業、すぐにプロダクションに所属してタレントとしての初年と、本当に大きな転機の連続で目まぐるしい一年でした。

大先輩の和田アキ子さんに「頑張って」と声をかけ…

「おかあさんといっしょ」を卒業してすぐに、君が代独唱の仕事をいただき、プロ野球のオールスターゲームで長嶋監督はじめスター選手の前で歌唱。サッカーのキリンカップでも歌わせていただき、おねえさんの頃と違う忙しさを送っていたら、年末近くに紅白のオファーがきたんです。

 番組の歌なので、4月からは新しいうたのおにいさん、おねえさんが引き継いで歌っていましたが、私とけんたろうおにいさんは「だんご3兄弟」のレコーディングメンバーなので、「絶対出てね」と「おかあさんといっしょ」のスタッフに言われて。「もう卒業して半年以上歌ってないのに、いいのかなぁ」と不安でした。

 本番当日の大晦日はレコード大賞にも出させていただいたので、まずレコ大のオープニングでTBSの屋上で歌って、その後NHKホールに移動したと記憶しています。実は紅白で「だんご3兄弟」を歌った瞬間をあまり覚えてないんです(笑い)。当日は生番組をはしごして、あまりにも忙しい一日でしたし、紅白はコーナーもいろいろあって衣装チェンジだけでも何度もありましたから。

 はっきり覚えてるのは紅組の出場歌手が何人かで歌って踊る応援企画の練習をリハーサル室で行った時のこと。私のことを「踊りを覚えるのが早い」とスタッフさんが思ったらしく、なぜか天童よしみさんに振りを教える係に任命されて、ずっと横で踊ったのが思い出です。「光栄だな」と思って。

 子供の頃から紅白は大好きだったし、大好きな松田聖子さんを見られたのもうれしかった。所属したばかりの事務所の大先輩の和田アキ子さんに「頑張ってください!」と声をかけてしまったり(笑い)。タレント1年生という自分の立場があまりわかってなくて、当時は怖いもの知らずで。一般の人が間違えて紅白に出たみたいにもなってました。

 その後、音楽番組「クインテット」(NHK)で声優を務めたり、コンサートやドラマ、ミュージカル活動を経て結婚し、3人の子供を出産しました。以来、育児中心の生活をしつつコンサートをしてきました。今年はオンラインでコンサートをやったのですが、コロナが落ち着いたらぜひまたやりたいですね。

(聞き手=松野大介)

▽茂森あゆみ(しげもり・あゆみ)1971年12月、熊本県出身。93年にEテレ(当時はNHK教育テレビ)の「おかあさんといっしょ」の17代目うたのおねえさんに就任。番組卒業後、コンサートやミュージカルなどで活動。現在はインスタグラムを開設し、日々更新中。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも