著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

各都道府県が「受動喫煙をなくす」条例を制定してほしい

公開日: 更新日:

■現状では東京五輪に間に合わない

 30年ほど前、一緒に働いていた3人の看護師ががんにかかり、そのうちの2人が亡くなったことを思い出します。3人とも喫煙していませんでしたが、窓もない控室は、いつもたばこの煙で満ちていました。当時の看護師(婦)は、夜勤の眠気覚ましもあってか、喫煙者が多かったのです。その頃、妊娠中も喫煙していた看護師2人が出産に大変苦労して、新生児に異常があったことも覚えています。

 たばことの因果関係が明らかになっているがんは肺がんだけではなく、頭頚部、食道、胃、さらには肝臓、膵臓、膀胱、子宮頚部のがんなどたくさんあります。

 たばこの煙の中には、たばこ自体に含まれる物質と、それらが不完全燃焼することによって生じる化合物があり、発がん物質が約70種類も含まれています。

 これらの有害物質は速やかに肺に到達し、血液から全身の臓器に運ばれ、DNAに損傷を与えるなどしてがんの原因となるのです。

 2010年、IOC(国際オリンピック委員会)とWHO(世界保健機関)は「たばこのない五輪の推進」で合意し、その後、五輪開催都市だったロンドンとリオデジャネイロでは、飲食店などの屋内全面禁煙が実現したそうです。そして、「その禁煙による飲食店の客離れはなかった」とする調査もあります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【夏の甲子園】初戦で「勝つ高校」「負ける高校」完全予想…今夏は好カード目白押しの大混戦

  2. 2

    ドジャース大谷翔平「絶対的な発言力」でMLB球宴どころかオリンピックまで変える勢い

  3. 3

    やす子「ドッキリGP」での言動が物議…“ブチ切れ”対応で露呈してしまった芸人の器量と力量

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    中央学院戦の「1安打完封負け」は全部私の責任です。選手たちにもそう伝えました

  1. 6

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明

  2. 7

    タレント出身議員の“出世頭” 三原じゅん子氏の暴力団交遊疑惑と絶えない金銭トラブル

  3. 8

    巨人の正捕手争い完全決着へ…「岸田>甲斐」はデータでもハッキリ、阿部監督の起用法に変化も

  4. 9

    ドジャース大谷翔平の突き抜けた不動心 ロバーツ監督の「三振多すぎ」苦言も“完全スルー”

  5. 10

    萩生田光一氏「石破おろし」がトーンダウン…自民裏金事件めぐり、特捜部が政策秘書を略式起訴へ