著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

市販薬でも「お薬手帳」に記載を 医療ミス防ぎ患者を守る

公開日: 更新日:

 OTC医薬品やスイッチOTC医薬品の中でも身近な「解熱鎮痛薬」には、「商品名が同じでも成分が異なる」ことがあります。これは薬を選ぶ患者さんだけでなく、医療者側も困惑させます。OTC医薬品を飲んでいる患者さんの治療にあたる際、重篤な事故につながる可能性があるからです。急性期病院に入院する患者さんの目的は大半が手術です。その際、患者さんが飲んでいると手術ができない薬があります。手術前に「休薬」が必要なものがあるのです。

 例えば、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)は出血リスクが高くなるため術前に休薬しなくてはなりません。医療用医薬品である「バファリン配合錠A81」(アスピリン配合錠)はこれに該当しますが、市販薬=OTCのバファリンはいくつも種類があり、同じバファリンでも該当するものとしないものがあります。

「バファリンA」の有効成分はアスピリンなので該当しますが、「バファリンEX」はロキソプロフェン、「バファリンルナJ」はアセトアミノフェンで該当しないのです。つまり、バファリンを飲んでいる患者さんが手術を受ける場合、「どんな種類をいつから飲んでいるのか」をきちんと医療者に伝えなければ、手術を延期せざるを得なくなったり、リスクの高い状態で手術をしなくてはならなくなってしまい、患者さんに不利益が生じてしまうのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い